【管理会計】飲食店の価格戦略~値下げが販売量に与える影響は?

      2018/07/07



飲食業に限らず、どの業種でも商品や、サービスを「いくら」に設定するかは簡単なことではない。

価格設定に限らず、見積もりも同じで、見積書を作るのも意外に難しい。

価格設定に関して言えば、零細企業や、小規模事業者が低価格戦略をすると、基本的に成功しない。

小規模事業者などが低価格戦略をすると「貧乏暇なし」状態になります。

低価格路線を採っても良いのは、資本力のある会社で、例えば、マックとか、他業種で言えばユニクロとか。

どの業種でも、利益を出さなければ事業を継続できないことは言うまでもないこと。

飲食店でも、原価より安い値段を設定することはないですね。集客するために、目玉商品を限定数量で原価割れ販売することはあるかもしれないけれど。

サービス業でも、販売価格が安いならば、まともな人材も、仕事をするための十分な時間も投入できないのは当然のこと。

したがって、安かろう、悪かろうという当然の帰結になります。

そこで今回は、値段に関連して、販売価格を10%下げた場合に、いくら販売量を増やせば、元と同じ利益になるかということについて確認してみましょう。

飲食店の値下げ戦略に勝機はあるか?

説明を簡単にするために、1種類のメニューしかおいていないパスタ屋を前提とします。

パスタ屋を営む飲食店の前提条件(値下げ前)
パスタの価格:1,000円
パスタの販売量:500皿
材料費(変動費):600円
固定費:150,000/月
∴1,000円×500皿-600円×500皿-150,000円=50,000円(値下げ前の利益)

このパスタ屋さんで、パスタの価格を10%値下げした場合に、値下げ前と同じ利益を生み出すためには、どれくらいパスタの販売量を増やせば良いか?

【確認1】
まず確認として、パスタの価格を10%値下げした場合に、利益も10%下がるのか?

販売価格1000円を10%値下げ→900円

900円×500皿-600円×500皿-150,000円=0円

→パスタの価格を10%値下げした場合に、利益は10%どころか、0円になってしまいました。

【確認2】
パスタの販売量を10%増やせば、値下げ前と同じ利益になる?

販売量10%UP 500皿→550皿

900円×550皿-600円×550皿-150,000円=15,000円

→パスタの価格を10%値下げした場合に、パスタの販売量を10%増加させても利益は70%も下がってしまいました。

【本題】
パスタ屋さんで、パスタの価格を10%値下げした場合に、値下げ前と同じ利益を生み出すためには、どれくらいパスタの販売量を増やせば良いか?

値下げ前と同じ利益を生み出すための販売量を、X(エックス)皿とします。

900円×X(エックス)皿-600円×X(エックス)皿-150,000円=50,000円

この計算式について、Xを解くと、X≒667皿

増加率で言えば、(667皿ー500皿)÷500皿×100≒33.4%

→パスタ屋さんで、パスタの価格を10%値下げした場合に、値下げ前と同じ利益を生み出すためには、パスタの販売量を約33.4%増加させる必要があるということです。

【キホン】飲食店経営のための採算ライン分析方法

【おまけ】
パスタ屋さんで、パスタの価格を20%値下げした場合に、値下げ前と同じ利益を生み出すためには、どれくらいパスタの販売量を増やせば良いか?

800円×X(エックス)皿-600円×X(エックス)皿-150,000円=50,000円

X=1,000皿

→パスタ屋さんで、パスタの価格を20%値下げした場合に、値下げ前と同じ利益を生み出すためには、パスタの販売量を2倍にさせる必要があるということです。

上の例からもわかるように、値下げが利益に与える影響は大きいです。

事業を継続するためには、利益を生み出すことが必須です。利益の最大化を目的とした場合、値下げが利益に与えるインパクトを考えれば、低価格戦略を成功させるのは至難の業になることが容易にわかる。

パスタの値段を下げたとして、ポーションも味も変わらない同じパスタを2倍販売するのは不可能に近いし、約33%販売量を増やすのだって、とても難しい。この点について、実際に経営したことのある人であれば、すぐに理解できるはず。

飲食店の価格戦略のまとめ

・値下げをすると、利益に与えるインパクトは想像以上に大きい。

・値下げをして、値下げ前と同じ利益を得るためには、相当の販売努力が必要になる。

・値下げをして、利益を増加させる戦略は、相当に骨を折る。

・もし値下げをする場合には、キッチリとしたシミレーションや、分析をすべき。

・小規模事業者が低価格戦略を打つと、貧乏暇なしになる。

飲食店経営における管理会計とKPIのキホン



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