呪縛された飲食店の原価率を解く

      2016/12/18



さて今回は、飲食店の原価率について関連したお話です。飲食店の原価率の前提として、原価をどう考えるかについて触れてみます。

飲食店の原価率の常識と非常識

まずは飲食店の原価率についてお話する前に、そもそも原価とは何か?ということについて触れておきます。

原価とは、経営における一定の給付にかかわらせて把握された財貨または用役の消費を貨幣価値的に表したもの、です。

これが、原価の意味を最も正確に表現したものだと思います。

ただ、この表現だと原価の意味が良くわかりません。

もっと噛み砕いて原価について説明すると、原価とは、商品や製品を作り出すために発生したコストのことと言うことができます。

自動車を例に原価を説明すると、レクサスを作るために発生したコストが車の原価です。

飲食店の原価率の常識 ⇔ 非常識

世の中に広く知られている飲食店の原価率は、

原価率=食材費/売上高(料理の価格)

と紹介されているはずです。

市販されている飲食系書籍や、他のほとんどのBlog上でも飲食店の原価率は上の式のように紹介されていると思います。

さて、ここでもう1度、自動車の原価について考えてみます。自動車の原価には、工場で働く工員の人件費が入っています。トヨタ自動車の内部資料は見たことがありませんが、工員の人件費は車の製造原価として計算しているはずです。

上場しているIT企業の場合も、アプリケーションを制作するために発生したエンジニアの人件費は原価に算入しています。

ちなみに、トヨタ自動車の場合もIT企業の場合も営業マンの人件費は販管費に計上します。

シェフや料理人の人件費は原価か?

トヨタ自動車の工員やIT企業のエンジニアの人件費が原価に含まれることを考えれば、

当然、「シェフや料理人の人件費も飲食店の原価になるんじゃないか?」

という疑問が沸いてきます。

工員もエンジニアもシェフも料理人も、商品や製品を作っているという点で同じだからです。

※もっと細かいことを言うと、厨房で発生する水道光熱費なども原価に入ると考えることができます。またこの際、店舗全体で発生する水道光熱費を、どうやって厨房部分と厨房以外の部分に分けるか、ちょっとした工夫が必要になります。

シェフや料理人の人件費が飲食店の原価に含まれるとすれば、上で説明した

原価率=食材費/売上高(料理の価格)

の考え方が正しいのかどうか疑わしくなります。この考え方に呪縛されているとも言えます。

このBlogを読んでいるほとんどの飲食店経営者は

原価率=食材費/売上高(料理の価格)

で計算しているかもしれません。

しかし実際、飲食店の中には、シェフや料理人の人件費を原価に算入している店舗もあります。

また飲食業を展開している上場企業の中にも、原価として食材以外に人件費と経費を集計し、有価証券報告書でその内訳(食材、人件費、経費)を開示している会社もあります。

ただいずれにしても、シェフや料理人の人件費を原価として考えるか否か、どちらの考え方によっても違いが生じるのは粗利だけで、営業利益以下の金額は同じです。

財務諸表の読み方については下の記事が参考になります。
参考:ビジネスマンのための財務諸表の見方と読み方

飲食店の原価にシェフや料理人の人件費を含めるかどうかについては、経営管理の観点から工夫されれば良いと思います。

飲食店の原価率に関連してアクセスの多い記事
参考:飲食店の原価率は30%のウソ

まとめ

実しやかに、知れ渡っている原価率は、

原価率=食材費/売上高(料理の価格)

ですが、原価には人件費や経費も参入するという考え方があり、実際に算入している上場企業もある。

原価率について、もう少し知りたい方のために原価率に関する記事を一覧にしました。

参考:【まとめ】原価率に関する記事を一覧にしてまとめました。

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