設立初年度、会社は役員にいくら給与を支給するのが正解か?

   



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開業当初は個人事業主としてスタートして、その後順調に売上が伸びてくると、そろそろ法人化しようと考える経営者は少なくない。

実際、業種を問わず法人化するときは役員給与をどれくらいにするかが税金との関係で1つのポイントになります。

そこでここでは会社を設立して法人化する場合の役員給与についてお話します。

役員給与のキホン

役員給与は、言うまでもなく役員に支給される給与のことですが、この給与は会社(経営者)が自由に支給できるわけではなく、損金(≒費用)として計上するためにはルールがあります。

なぜかと言うと、毎月の給与を会社が任意に支給できるとすれば、売上の良かった月は多く役員給与を支給し、売上の少なかった月は少ない給与を支給することによって、会社が利益の金額を調整することができ、支払う税金も調整できることになります。

※ 正確に言うと、会社が役員に給与を自由に支給をすることはできるけれど、損金としては認められないことがあるということです。

次に、役員給与が損金として認められるための支給についてお話します。

定期同額給与

この定期同額給与とは、支給時期が1か月以下の一定の期間ごとである給与で、その各支給時期における支給額が同額である給与等のことです(※)。これが定期同額給与の基本パターンです。

※ その他にも定期同額給与に該当する場合はありますが、話が細かくなるためここでは省略

役員に支払う給与がこの定期同額給与であれば、会社は損金計上できることになります。

損金計上できるということは、利益が圧縮されて、支払う税金が少なくなるということですね。

中堅・中小企業のほとんどは、この定期同額給与を活用していて、役員に対しては毎月同額の給与を支給しています。

事前確定届出給与

事前確定届出給与とは、下の1~3のすべての要件を満たす給与のことです。

1.その役員の職務につき所定の時期に確定額を支給する旨の定めに基づいて支給する給与で
2.定期同額給与・利益連動給与以外、
3.期限までに納税地の所轄税務署長にその事前確定届出給与に関する定めの内容に関する届出をしている給与

この事前確定届出給与を利用している会社は少ないと思います。

利益連動給与

利益に連動する給与ですが、これについては詳しく知っておく必要はありません。なぜかと言うと、同族会社以外の会社しか利用できないからで、日本の95%超の会社は同族会社だからです。

※ 国税庁webサイトで公表しているH25会社標本調査によると96%が同族会社

役員にいくら給与を支給するか?

会社設立初年度、役員にいくら給与を支給すべきかというギモンがあると思いますし、実際、そうした質問をよく受けます。

結論から言って、この問題についての唯一の正解はない。

個人事業主から法人化する場合には、会社設立初年度の売上を予想することはそれほど難しくなく、前年度の売上をベースに資金繰りや税金などをシミレーションしながら役員給与を決定すれば良いのだけれど、ゼロベースで会社を設立して事業を開始する場合には初年度の売上を予測することはとても難しい。

初年度の売上予測が難しいので、役員給与をどれくらいに設定するかということも難しくなります。

ただ役員給与の決定は難しけれど、いつくかの選択肢はあります。ここでは2つ紹介します。

役員給与をゼロにする

会社経営上、どうしても初年度から黒字にする必要がある場合があります。このときは思い切って役員給与をゼロにするという選択肢があります。

ただ役員給与をゼロにした場合、想定外に売上が上がって、ドカーンと利益が生じるときがあります。そのとき、もちろん多額の税金が支払うことになります。

また役員給与をゼロにして黒字化した場合でも、販管費の内訳をみれば役員給与が計上されていないので、黒字化した理由も簡単に見抜かれます。このとき、利益が本来の収益力を示していないことも見抜かれます。

役員給与を必要なだけ支給する

役員給与をゼロにするのではなくて、許容範囲内で、生活費など、役員が必要なだけ給与を支給します。役員に必要なだけ給与を支給すれば赤字になるかもしれない。けれど、それでもかまわない。

初年度赤字覚悟というよりも、初年度は敢えて赤字にします。戦略的赤字です。

初年度、赤字にすると繰越欠損金が生じるので、次年度はこの繰越欠損金を活用して節税をするという狙いがあります。

初年度に売上が上がらない場合、そもそも役員に支給する現金はどうするのか?という疑問があると思います。実際、この質問もよく受けます。

このときは役員が会社に対して貸付します。逆に言うと、会社が役員から借入をします。

会社が役員から借入すると言うと、多少違和感を感じる方もいるかもしれませんが、違和感は感じなくても大丈夫です。ほとんどの会社のBSには役員借入金が計上されています。

で、2期目以降は前年度の売上をベースに役員給与を決定します。

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