繁盛飲食店のTV放送でカットされた原価率の㊙を公開するよ!!

      2016/06/14



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随分前に下のリンク先のような記事を書いたところ、記事のなかに登場する飲食店にぎり鮨一五○さん (いちごえ 以下 敬省略) から直接ご連絡を頂きました。

参考:飲食店の原価率は30%のウソ

記事のなかでは、TBSがっちりマンデーでも放映された(にぎり鮨一五○の原価率についての)内容を記載したのですが、「編集で大幅にカットされ放映されなかった」とのご連絡を専務の富田さんより頂きました。

編集でカットされ放映されなかった儲けの秘密があるならば、是非、私自身が教えて頂き、さらにその内容をblogにもアップしようと思い、専務にご協力をお願いしたところ、快諾して頂きましたので今回の記事となりました。

既にご存じの方も多いと思いますが、にぎり鮨一五○は、大トロ、うに、あわび、大穴子など全貫150円均一の愛知県碧南市にある人気のたち寿司屋さんです。トップにあるトロの写真もにぎり鮨一五○のお寿司です。

にぎり鮨一五○

※ にぎり鮨一五○のノウハウ、儲けの秘密など、かなり突っ込んで色々なことを教えて頂きましたが、Blogに記載できる範囲内で記事化します。

愛知の人気寿司屋 にぎり鮨一五○の原価率のすべて!

がっちりマンデーで放映されたにぎり鮨一五○の原価率は54%とのことでしたが、本当の原価率は56%程度のとのことです。

飲食店の業態は様々ですが、通常、寿司屋の原価率は飲食店のなかでも最も高い業態の1つで、黒字・赤字を区別しない平均的な寿司屋の原価率は50%程度です。

平均的な寿司屋の原価率よりも、にぎり鮨一五○の原価率は更に約10%も高い。それでも利益を叩き出しているからスゴイ。(年商や坪あたり月商については後述)

ちなみに寿司屋の原価率が高くなってしまう理由の1つとして、在庫管理の緩さがあります。在庫管理が緩くて、廃棄ロスが原価率を押し上げるということです。

各々のネタの原価率

お店全体としての原価率は56%ですが、各々のネタの原価率も気になるところ。

そこで各々のネタの原価率についても教えて頂きました!

もっとも低い原価率のネタ

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まずもっとも低い原価率のネタは、玉子やかっぱ巻き、いなりなどで約10%とのこと。

高級ネタ(キラーコンテンツ)の原価率

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※ 魚介類は仕入価格に変動があるので、原価率も変動します。

飲食店がキラー・コンテンツを用意する目的は集客にありますが、にぎり鮨一五○も高級ネタで集客できています。

集客による年商は、具体的にどれくらいかというと直近で1億3,500万円強。お店の坪数が33坪なので、坪あたりの月商は35万円弱です。

先日下の記事のなかで記載した塚田農場の坪あたりの月商が20万円なので、にぎり鮨一五○のパフォーマンスの良さがわかります。

※ 塚田農場の坪あたり月商については下の記事で記載しています。

参考:FCは儲かる?有名な飲食フランチャイズ店の平均年商は?

で、これだけキラー・コンテンツの原価率が高いと経営が成り立つのか疑問に思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、ここにはにぎり鮨一五○の技と戦術が隠されています。

その1つを紹介すると、例えば、コラーゲン、横隔膜 (原価率10%)などの土日限定メニューを用意し、限定という希少性を訴求する名目で来店者に原価率が低いものを注文するよう誘導し、お店全体の原価率を下げようとする戦術を採っています。

余談ですが、原価率のコントロールというと、(払出単価×消費量)÷(客単価×客数)という計算式を思い出しがちですが、実はこうした戦術的な原価率のコントロールの仕方もあります。

大トロの在庫回転日数は?

大トロの在庫回転日数についても興味があったので質問してみました。

通常の寿司屋のオーナーは信じられないかもしれませんが、にぎり鮨一五○では平均して10キロ仕入れて2日でなくなるそうです(土日は平均して15~20キロの仕入)

在庫回転日数の考え方については下の記事に記載しています。

参考:高級イタリアンと回転寿司の在庫回転日数はどれほど違うか?

にぎり鮨一五○の儲けの秘密は?

まずTVで放映されなかった儲けの秘訣をお伝えする前に、放映された儲けの秘密をおさらいします。

1. 家賃比率が低い

下の記事のなかでも記載していますが、通常、飲食店の家賃比率は月商の10%です。スタバや日高屋、ゼンショーなども約10です。

※ 有名店の家賃比率については下の記事で記載しています。

参考:【最新】飲食店の売上高営業利益率ランキングを発表!

しかし、にぎり鮨一五○の家賃比率は驚異の2%。

2. 宅配寿司

にぎり鮨一五○は宅配寿司も運営しています。

宅配寿司や出前の出前桶を思い出せばわかるように、宅配の場合には原価率の高いネタから低いネタまで詰め合わせで販売できます。これも原価率をコントロールできる戦略商品になります。

少し話は変わりますが、宅配寿司のシェアNo1に銀のさら(ライドオン・エクスプレス)があります。

ライドオンが作成している銀のさら月次収支モデルによれば、宅配寿司の原価率は30.5%です(銀のさらの場合)。

TK3_020401@にぎり鮨一五○の店内の様子

にぎり鮨一五○ TVで放映されなかった儲けの秘密は?

上で紹介した低い家賃比率と宅配寿司の運営がTVで放映されたにぎり鮨一五○の儲けの秘訣ですが、放映されなかった秘訣は次の2つの点にあります。

3. 人件費の工夫

若い職人を雇うことに加え、客席を基本的にはカウンターだけにすることで職人がそのまま接客も可能になって、接客係を減らすことを可能にしています。

そして浮いた人件費は、原価に投入する。

通常、寿司屋の場合ツケ場と呼ばれるカウンターで握れるようになるには5~10年かかると言われていますが、にぎり鮨一五○では若手職人を育成するというコンセプトのもと、人件費も効率化できています。

※ 実際問題として職人の育成に5~10年もかかれば、今の若い人はどんどん辞めていくのが実情とのこと

4. 回転率の高さ

回転率の上げ方は、飲食店経営者にとって課題の1つですが、にぎり鮨一五○は次のようにして回転率を上げています。

・基本的に客席はカウンターだけ
・ドリンクは推奨しない

※ 実際はカウンター席だけではなく、6人がけのBOX席も2つあります。

まず基本的には客席をカウンターだけにすることで、食べ終わったらすぐに帰るというお店づくりをしています。

またできるだけドリンクを推奨しないことで長時間の滞在を防止し、お客さんの入れ替わりを促進する仕組みを取り入れています。

そして実際の回転数は、土日の多いときで約8回転。これはラーメン屋並みの回転数です!

TK3_343601

縮小する寿司業界

すし業界は、回転寿司は順調に伸びていますが、たち寿司は店舗数・市場規模ともに減少していて、将来も減少すると予想されています(富士経済 外食産業マーケティング便覧)。

2013年店舗数42,300店で、2018年予想店舗数41,300店

単純に計算すると、かつてあった屋台の寿司屋が消えたように、たち寿司も約200年後に日本の寿司文化から消えます。

実際、街を歩くとすぐにわかりますが、昔ながらの店づくりをしたお寿司屋さんは相当経営が厳しいように感じるし、廃業にもいたっているようです。

そんな廃業の危機に陥っているたち寿司屋さんには、にぎり鮨一五○の経営は参考になると思う。

すし以外の他の業態の飲食店にとっても、にぎり鮨一五○の原価管理については参考になると思うので、最後にまとめてみます。

原価率をコントロールするときに知っておくべき4つの視点

まず原価率には2つある。

・お店全体としての原価率
・個々の商品の原価率

この2つは次の式のようなイメージになる。

お店全体としての原価率 ≒ 個々の商品の原価率の集合

そして、原価率のコントロールの仕方にも次の2つあって、説明の都合上、便宜的に

・アカウント・アプローチ
・マネジメント・アプローチ

と呼ぶことにします。

まずアカウント・アプローチは下の計算式になります。

原価率の公式

これは会計的に原価率をコントロールする方法で、とても明快でわかりやすい。分母と分子を調整すれば原価率をコントロールできる。

参考:もう1度やさしく原価率のお話をしよう。

でも、この方法ではなくて、別の方法で原価率をコントロールすることもできる。

この方法の一例が、にぎり鮨一五○が実践している「限定商品」という希少性を訴求する名目で原価率の低い商品へと誘導する戦術的に原価率をコントロールする方法です

いずれにしても、工夫するすることで原価率は調整できます。

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