除外合意・固定合意で飲食店経営を事業承継をするには?

      2016/03/26



coffee-973903_640

飲食店の経営者には様々な年代の方がいらっしゃいますが、50歳を超えてくると、そろそろ後継者のことを考えるかもしれません。

60歳後半で考え始めるのは遅いと思います。

そこで今回は、事業承継に関連し、その遺留分に関する特例である除外合意と固定合意について説明します。

除外合意と固定合意の前提として、そもそも事業承継とは?

まずは除外合意と固定合意を説明する前に、そもそも事業承継について簡単に説明します。

事業承継とは、旧経営者から新経営者に経営を承継させることです。例えば、経営者が高齢化し、自分の子などに経営を譲ることなどが事業承継もいわば事業承継と言えます。

また、親族に事業を引き継がせるだけでなく、例えば、取引先などの第三者に譲る場合も事業承継にあたります。

この事業承継ですが、失敗すると身内で揉めます。

それはなぜか?

事業承継後、安定した経営をするためには会社の株式や経営に必要な事業用資産などを新経営者に集中させることが大切です。

ただムヤミやたらに旧経営者が保有していた会社の株式や事業用資産を新経営者に集中させると、兄弟など他の相続人の遺留分を侵害してしまうことになります。遺留分を侵害すれば、遺留分減殺請求権のターゲットにもなります。遺留分減殺請求権が行使されれば、新経営者が取得するはずだった会社の株式や事業用資産が散々になってしまい、新経営者の手元から離れることになりますね。株式が分散しすぎると、安定した経営ができなくなります。

※ 遺留分というのは、相続人が必要最低限承継けできる相続分のことです。相続人が必要最低限の相続分を相続できないときは遺留分減殺権という権利を行使できます。

話は少し変わりますが、
会社経営にとって重要事項を決定するためには、全議決権のうちの2/3以上の同意が必要ですが、株式(議決権付)が多数の人に分散されすぎると、合併など会社にとって重要な事項について議決権のうち2/3以上の同意が得られない可能性が生じてしまい、会社経営が円滑に進まなくなる恐れがあります。

そこで株式が新経営者の手元から離れず、株式を集中させるために除外合意と固定合意という特例が設けられています。

事業承継における除外合意と固定合意とは?

それでは、事業承継の場面における除外合意と固定合意について説明します。

① 除外合意とは?
旧経営者から新経営者に贈与等をされた株式等について遺留分を算定するための財産の価額から除外する合意のことを除外合意。この合意により他の相続人から遺留分減殺請求をされることがなくなる。

② 固定合意とは?
 旧経営者から新経営者に贈与等をされた株式等について遺留分を算定するための財産の価額に算入する価額を合意時の価額にする合意を固定合意。この合意により株価上昇分は遺留分減殺の対象外となる。

この説明だけではイメージしにくいと思いますので、除外合意について図解します。

図解で簡単にわかる除外合意

キャプチャ

前提
被相続人A、相続人B(長男)=後継者、C(次男)、D(三男)
B,C,Dは兄弟であり、そのうちBが後継者となる予定とします。

①旧経営者Aが後継者のBに自社株を贈与した。

②そして贈与の1年後に旧経営者Aが死亡(相続開始)してしまった。

除外合意していない場合

CとDの各遺留分 基礎財産1億5,000万円×1/2×1/3=2,500万円

1億5,000万円=相続開始時の現金3,000万円+株1億2,000万円

なお遺留分の算定する際の相続財産には相続開始前1年間の贈与(1億2,000万円)も参入されることになっています。

相続財産の現金だけでは遺留分2,500を確保できないため、CとDはBに対して遺留分減殺請求権を行使する。遺留分減殺請求権を行使された結果、Bは自社株の一部をCとDに譲渡することになり、自社株がBの手元から離れて、自社株が分散する結果になってしまう。

このように自社株が分散すれば、安定した経営ができなくなる。

除外合意している場合

CとDの各遺留分 基礎財産3000万円×1/2×1/3=500万円

CとDは相続財産の現金から500万円づつ承継できる(CとDは遺留分確保)
→遺留分を確保しているCとDはBに対して遺留分減殺請求権は行使しえない。
∴Bが保有している自社株は分散せず、安定した経営が可能になる。

今後、事業承継の予定のある経営者は除外合意と固定合意の検討もすることも選択肢の1つになると言えます。

下の本は共著ですが、第7章の事業承継のところは、私が担当して執筆しました。固定合意については、こちらの本で詳しく記載しています。

この記事が気に入ったら、シェアして頂けると嬉しいです!

Facebookの"イイネ!"をクリックすると、最新の更新情報が届きます!



レコメンド

1
【保存版】無担保・無保証で借入する!その制度融資とは?(利用者の声あり)

起業や開業をするとき、または既に会社を設立している経営者が新規事業を開始するとき ...

2
飲食店経営における管理会計とKPIのキホン

誤解の多いところですが、会計には3種類あります。 その3つの会計とは、財務会計、 ...

3
2018年2月21日共同セミナー開催のお知らせ

 - 事業承継・M&A, 法務, 経営管理, 飲食店経営, 飲食系の会計・税務